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barとは スロット こんにちは。SFプロトタイパーの大橋博之です。

 この連載では、僕が取り組んでいる「SFプロトタイピング」について語ります。僕がさまざまな企業と共に実践しているSFプロトタイピングの事例はもちろんのこと、企業の先進的な事例、有識者へのインタビューなども加えてSFプロトタイピングの現状や取り組む方法、効果などをレポートします。

 連載の内容を紹介しましたが、「そもそも、SFプロトタイピングって何?」という人も多いでしょう。そこでまずは3回にわたってSFプロトタイピングの概要を説明していきます。初回は概要編です。

SFプロトタイピングとは何か?

 SFプロトタイピングが日本で広く紹介されたのは2013年です。ブライアン・デイビッド・ジョンソンの著作「インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング」(監修:細谷功/翻訳:島本範之/亜紀書房)が始まりでした。

 著者のジョンソン氏は、米国カリフォルニア州に本社を置く半導体素子メーカーIntel社の社員で、フューチャリスト(未来研究員)です。彼に与えられたミッションがSFプロトタイピング、つまりSFを使った未来(10年後)の予測でした。

 同書籍の著者略歴によると、ジョンソン氏は民俗学や技術研究、データ解析、SF作品などを活用して消費者やテクノロジーの未来を構想する「未来予測」の業務を担っていました。中でも人工知能(AI)やロボット工学などの分野に早くから携わり、SF小説の執筆や映画の監督、画家としての実績を持つなど幅広く活動しています。

 ただの娯楽と捉えられていたSFをビジネスに活用する。しかも、それをIntel社という大企業が社内にフューチャリストを置いて行っている、そのことに対して多くのビジネスマンが衝撃を受けました。

 ここでは日本でSFプロトタイピングを紹介した同書籍から「SFプロトタイプ」の定義を紹介します。

 SFプロトタイプとは、現実の科学技術にもとづいて創作された短編小説や映画、コミックのことである。そうした発想自体は新しいものではなく、それこそ百年以上前から、作家は事実にもとづくフィクションを手がけてきた。SFプロトタイプが他と異なるのは、創作物を開発の過程におけるひとつの段階、あるいはインプットとして使っており、その点を明確にしていることにある。デザイナーや技術者、科学者、アーティスト、学生、あるいは戦術プランナーと、さまざまな立場の人々にとって、SFプロトタイプは未来を想像し、描写するためのまったく新たな方法を提供するものなのだ

 SFプロトタイピングでは、SF的な考え方を用いて未来を考えて(インプット)、実際にSF作品を創作して(アウトプット)、最終的には企業や組織のビジネスに活用する流れを実施します。ビジネスにおいて効果的かつ画期的なメソッドとして注目され、海外ではSFプロトタイピングを取り入れる企業やSFプロトタイピングを提供する企業も増え続けています。

 日本においても、SFプロトタイピングと明言はされていないものの、SFプロトタイピング的な取り組みは数多く行われています。日本で本格的に注目され始めたのは2021年からといえるでしょう。なぜなら、この年にSFプロトタイピングに関係する書籍が立て続けに刊行されたからです。

「SFプロトタイピング:SFからイノベーションを生み出す新戦略」(監修・編著:宮本道人/編著:難波優輝、大澤博隆/早川書房)「未来は予測するものではなく創造するものである―考える自由を取り戻すための〈SF思考〉」(著:樋口恭介/筑摩書房)「SF思考 ビジネスと自分の未来を考えるスキル」(編著:藤本敦也、宮本道人、関根秀真/ダイヤモンド社)

 Webブラウザで「SFプロトタイピング」と検索すると、2021年ごろからさまざまな情報が溢れ出すようになったことが分かります。

 この連載では、そんなSFプロトタイピングを活用する企業を紹介していきます。

なぜ、SFプロトタイピングなのか?

 「創造から想像」が現代のキーワードです。

 数年前まで未来は「創造」するものでした。未来を切り開いて進める力強いヒーローが求められていました。「共に未来を創造しよう!」と旗を振るカリスマに人々は集まったのです。

 それが今では、未来は「想像」するものに変化しました。こんな未来を作りたい、こんな未来にしたいと「夢」を描くことが重要になっています。「こんな未来を一緒に作りませんか?」と旗を振るロマンチストに人々は集まります。

 人々は強いリーダーを求めながらも、夢を語るリーダーについて行きたいと考えています。その一例が、クラウドファンディングです。クラウドファンディングの中には具体的な計画もありますが、夢を語り、その夢を実現するために支援者を募るプロジェクトが数多くあります。そして、それらはクラウドファンディングにサクセスしています。支援者は夢に共感し、金銭的なリターンよりも、世の中を変革する取り組みに対して賛同します。精神的なリターンに価値を求めているといえます。

 企業においてもどれだけ「夢」を語れるかが、重要になってきました。ベンチャー企業は社会のさまざまな課題を解決したいと夢を抱き、そこにスタッフが集まり、投資家からの資金も投下されています。これはレガシーな企業でも同様です。夢を語れないトップに社員は魅力を感じません。夢を描けないと、社員や資金は集まらなくなっています。

 もし自由に空を飛べたら、もしもっと早く走れたら、そうした「もし」を人類は実現してきました。夢を現実にすることは、人間が昔から行ってきたことです。

 夢を描く、つまり未来を想像するとき、どこまで発想を膨らませるかが大切です。そして最も重要なことは、未来は来るものではなく、作り上げていくものだということです。

SFプロトタイピングの目的は「未来の予想」ではない

 実は、SFプロトタイピングは、未来を予想することを目的にはしていません。「こんな未来を作りたい」と想像し、その未来の姿から逆算して、今、何をすれば良いのかの施策を考えることが目的です。そのため、一般的にSFプロトタイピングは「バックキャスティング」だといわれています(現状から未来像を試算することを「フォアキャスティング」という)。

 人間は現実に縛られる生き物です。例えば「月にホテルを建設したい」と言うと、決まって「それにはどれくらいの費用がかかるか?」「物資はどのように月まで届けるのか?」などと辛辣なことを言われ、「現実的ではない」と冷たくあしらわれてしまいます。

 だから、「SF」なのです。現実を取っ払い、自由に空想を広げてみる。それがSFプロトタイピングであり、未来のプロトタイプをSFで描くことです。

 ただし、ジョンソン氏が「SFプロトタイプとは、現実の科学技術にもとづいて創作された」と語るように、ただの夢物語では意味がありません。あり得ない妄想をすることがSFプロトタイプではないのです。

 実際に月にホテルを建設する構想は進んでおり、月の砂でコンクリートを作るチャレンジはもう始まっています。そのような情報を集めて、現実と夢の延長の物語を描くことがSFプロトタイピングです。

 SFプロトタイピングに興味がある、取り組んでみたい、もしくは取り組んでいるという方がいらっしゃいましたら、ITmedia NEWS編集部までご連絡ください。この連載で紹介させていただくかもしれません。

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